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梅干しの生産量全国1位! 和歌山県産の梅について知ろう!

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梅の生産・収穫量で全国1位を誇る和歌山県。国内の収穫量の50%以上を占めている、日本でも有数の梅の産地です。梅干しの生産量も全国1位で、和歌山県の中でも多くの梅を栽培しているみなべ町は、有名な「南高梅」発祥の地でもあります。 

群馬県や青森県も梅の産地として知られていますが、収穫量は和歌山県と大きく差があります。なぜ、和歌山県は梅の栽培が盛んなのでしょうか。 

今回は、和歌山県と梅の歴史や、和歌山で生産されている有名な品種の特徴、人気の梅加工品などについてご紹介します。 

和歌山県と梅の歴史 

和歌山県と梅の歴史は、江戸時代までさかのぼります。江戸時代には、稲作ができないほど養分に乏しい「やせ地」は免租地(年貢が免除される土地)になる制度がありました。そのため、農民がやせ地に梅を栽培したことが本格的な梅栽培の始まりとされています。 

また、紀州藩田辺領の城代家老(城主がいない時、城主に代わって城を預かる役職)、安藤直次がやせ地を利用した梅の栽培を奨励したため、みなべ町や田辺市を中心に梅栽培が広まったとも伝えられています。 

当時の梅は「やぶ梅」と呼ばれ、現在栽培されている梅とは比べ物にならないほど、品質に劣っていたそうです。
しかし、田辺領の土壌や気候条件が梅の生育に適していたため、徐々に高品質な梅が生産されるようになり、江戸でも「田辺梅」として有名になっていきました。 

その後、1960年頃になると「南高梅」や「古城梅」といった品種が誕生し、栽培面積が増えてきました。現在は、みなべ町と田辺市だけで全国の50%以上もの梅を生産する、質・量ともに日本一の梅の産地となっています。 

養分に乏しい斜面を活用して、高品質な梅を持続的に育ててきた地域独特の農業システムは、「みなべ・田辺の梅システム」として、2015年には世界農業遺産に認定されました。 

お土産としても人気

和歌山県産の梅は、お土産としても人気です。1つずつ丁寧に個包装された梅干しや化粧箱入りの梅干しなどもあり、普段とは異なる梅干しを楽しめます。 

梅酒や梅ジュース、梅を練り込んだ梅うどんなど、梅を使った加工品も多いので、梅干し以外の梅製品をお土産にするのもおすすめです。 

地酒やお菓子といった人気のお土産もありますが、和歌山ならではの梅を使ったお土産を用意すればより喜ばれるのではないでしょうか。 

直売所はもちろん、近年はインターネット通販(ECサイト)から梅干しや梅酒・梅の加工品を購入することもできます。 

和歌山県で生産されている主な品種  

和歌山県では、南高梅や古城梅、小梅、パープルクイーン、露茜、翠香など、多くの品種が生産・出荷されています。 

ここでは、その中でも特に代表的な品種の、南高梅と古城梅をご紹介します。

南高梅(なんこううめ) 

数ある梅の品種の中でも知名度が高く、生産量も多い品種です。南高梅の中でも、和歌山県の紀州南高梅は高級品とされています。皮が薄く果肉は柔らかいので、ジューシーな食感を楽しめます。種は小さめで、食べ応えがあるのも特徴です。 

主に6月初旬から7月上旬頃に収穫され、梅干しをはじめ、お菓子や梅シロップなど、さまざまな用途で使われています。 

また、粒の大きさが通常の南高よりも一回り小さい、「小粒南高」と呼ばれる品種も人気です。1本の木から多くの実を収穫できるのが小粒南高の特徴で、6月初旬頃から収穫されます。 

小粒南高はたくさんの花粉を飛ばすことから、他の品種の梅を受粉させる「受粉樹」としても使われています。

古城梅(ごじろうめ)

古城梅は和歌山県でも生産量が少ない希少種で、青いダイヤと呼ばれることもあります。南高梅よりも実が引き締まっていて、フレッシュな香りを楽しめるのが魅力です。梅のエキスがたくさん染み出ることから、梅酒や梅シロップ作りに適しています。 

和歌山県で加工されている梅食品 

和歌山県では、特産の梅を使ったさまざまな加工食品も親しまれています。梅を使って作る代表的な食品は、以下のとおりです。 

梅干し

梅を塩漬けして作る、日本人の食卓になじみ深い保存食です。皮が薄く果肉も柔らかい紀州南高梅を使った梅干しは、ふっくらした食感を楽しめます。 

近年は、はちみつを加えて作る「はちみつ漬け」が人気です。はちみつの甘みで梅干し特有の酸味やしょっぱさが和らぐので、酸っぱい梅干しが苦手な方は試してみてはいかがでしょうか。 

その他にも、紫蘇と漬けた「紫蘇漬け」や、かつお節をブレンドした「かつお梅」、塩分濃度の低い「減塩タイプ」など種類が豊富で、好みに合わせて選ぶことができます。 

また、塩漬けした梅を天日干しせずに仕上げる「梅漬け」も、おいしく食べられるのでおすすめです。 

梅酒・梅シロップ 

梅酒や梅シロップも、梅を使った人気商品です。フルーティーな味わいと梅の豊かな香りが楽しめる梅酒は、お酒が苦手な方でもおいしく飲むことができます。梅の実が入っていて実も食べられたり、黒糖をブレンドして飲みやすく仕上げたりしたものもあります。 

酒造メーカーごとに香りや味わいが異なるので、好みの味を探してみるのも良いでしょう。 

アルコールが飲めない方や未成年の方は、甘酸っぱさが特徴の梅シロップがおすすめです。水やお湯、炭酸水で割って梅ジュースにしたり、デザートや料理の味付けにしたりと、幅広い方法で楽しめます。 

梅酒や梅シロップも、梅干しと同様に自宅で作ることができます。取り出した梅の実を使って梅ジャムを作れば、梅を余すことなく楽しむことも可能です。興味のある方は、試してみてはいかがでしょうか。 

梅エキス 

青梅を長時間煮詰めて、ペースト状にしたものが梅エキス(梅肉エキス)です。ペースト状にした梅エキスをさらに加工して、粒状にしている場合もあります。1kgの青梅からわずかしか取ることができず、作るのに手間と時間もかかる貴重な食材です。 

梅そのものを濃縮したエキスなので、梅に含まれている栄養をしっかりと摂取できます。 

スプーンですくってそのまま食べたり、サラダにかけたり、料理の隠し味にしたり、水やお湯で割って飲んだり、さまざまな方法で使える点も魅力のひとつです。 

手間こそかかりますが、青梅とおろし器、鍋、保存容器、木べらなどのアイテムがあれば、梅エキスは自宅でも作れます。保存性に優れていて作り置きに向くため、興味のある方は手作りしてみるのも良いでしょう。 

自宅用やギフトにもおすすめの和歌山県産の梅食品 

日本有数の梅の産地である和歌山県。南高梅が特に有名ですが、他にもさまざまな品種が栽培されていて、品種ごとに異なる味や食感を楽しめます。梅仕事を行っている方は複数の品種を使い分けてみるのも良いでしょう。 

自宅で楽しむのはもちろん、大切な人へのギフトにするのもおすすめです。 

また、梅干しをはじめ、梅酒や梅シロップ、梅エキスなど、梅を使った食品には多くの種類があります。使い方や食べ方に応じて商品を選ぶことができるのも、梅の魅力のひとつです。 

塩だけで作った白干し梅や、しそと漬けた紫蘇漬け、かつお漬け、はちみつ漬けなど、梅干しだけでも多くの種類があります。いろいろと食べ比べてみて違いを楽しんでみてはいかがでしょうか。 

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