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梅の花言葉について知ろう!色別の意味やことわざもご紹介
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開花によって春の訪れを感じさせてくれたり、実を梅干しにして食したり、さまざまな楽しみ方ができる梅。古くから日本人の生活や文化に深く関わっている植物のひとつです。
馴染み深い梅ですが、花には必ずある「花言葉」を知らなかったり、ネガティブな意味があると聞いたりしたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
梅の花はどのような花言葉があるのでしょうか。ここでは、梅の花言葉や由来、梅にちなんだことわざなどをご紹介します。
梅の花言葉は?
梅は花の鑑賞を楽しむ「花梅」と、実を食べる用途に使う「実梅」の2種類に大きく分けられます。花梅だけでも300以上もの品種があるとされていますが、梅の花全般の花言葉は日本では「忠実」「高潔」「忍耐」の3つです。
ちなみに英語圏では「fidelity(忠実)」「Keep your promise(約束を守る)」「beauty and longevity(美と長寿)」という花言葉がつけられています。
梅全般の花言葉の由来
梅の花の花言葉3つには、それぞれ由来があります。どのような由来で花言葉がつけられたのかをご紹介します。
忠実
花言葉のひとつである「忠実」は、平安時代の貴族で学問の神様として有名な菅原道真の「飛梅(とびうめ)伝説」が由来です。
平安時代、菅原道真は当時大きな影響力を誇っていた藤原氏との権力争いに破れ、大宰府(福岡県)に左遷されてしまいます。京都を離れることになった菅原道真は、日頃から愛していた庭の桜や松、梅の木との別れを惜しみ、次のような歌を詠みました。
「東風(こち)吹かば にほひおこせよ 梅の花 あるじなしとて 春な忘れそ」
現代語に訳すと、「梅の花よ、春風が吹いたら香りを大宰府にまで届けておくれ。私がいないからといって、咲く春を忘れてはいけないよ」という意味の歌です。
この時、主人との別れを受けて桜は悲しみのあまりに枯れてしまいます。松の木と梅の木は主人のいる大宰府を目指すものの、松は途中で力尽き、大宰府にたどり着いたのは梅だけでした。この伝説が「忠実」という花言葉の由来とされています。
この伝説の舞台で、菅原道真を祀っている福岡県の太宰府天満宮には、樹齢1,000年を超えるとされる「飛梅」がご神木として現存しています。
境内のどの梅よりも先に開花して、参拝者を楽しませているそうです。
高潔・忍耐
「高潔」や「忍耐」の花言葉は、梅の開花時期が由来です。品種や地域にもよりますが、梅の花が開花する時期は1月下旬で、本格的な春が訪れる前のことです。
冬の厳しい寒さが残る時期に花を咲かせる姿は、高潔や忍耐という言葉が相応しいといえるでしょう。
梅の色別の花言葉
梅の花は、品種全体ではなく色ごとにも花言葉がつけられています。梅の色別の花言葉を、紅色と白色に分けてご紹介します。
紅梅
紅い花を咲かせる紅梅の花言葉は、「優美」や「艶やか」です。上品な美しさや艶やかな香りを持った花を咲かせることが由来でつけられました。
また、『枕草子』で知られる平安時代の作家・歌人の清少納言が愛した花であることも由来といわれています。
実際に、枕草子では「木の花は こきもうすきも 紅梅(木の花は色が濃くても薄くても紅梅が良い)」と詠っていることからも、清少納言が紅梅を愛していたことがわかります。
白梅
白い花を咲かせる白梅の花言葉は、「気品」や「上品」です。艶やかな紅梅とは異なり、白梅は奥ゆかしく気品のある美しい花を咲かせます。その清楚な雰囲気が由来とされています。
また、梅の中にはピンク色に近い花を咲かせる品種もあります。淡い色で柔らかさや清々しさを感じるピンク色の梅の花言葉は「清らかさ」です。
いずれの花言葉も梅の花の雰囲気を表しているのが特徴です。
梅の花言葉にはネガティブな意味がある?
梅盆栽できれいな花を咲かせるためには、基本的な育て方以外にも覚えておきたいポイントがあります。梅盆栽をより楽しむためのポイントを2つご紹介します。
「梅の花言葉にはネガティブな意味がある」と聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。ご紹介してきたように、実際には梅の花言葉にはネガティブな意味はなく、ポジティブな言葉ばかりです。
梅の花言葉にネガティブな意味があるといわれるのは、梅の花の開花時期が人や物事との別れが多い春先の時期に重なるため、そのようなイメージが持たれたと考えられます。
梅にまつわることわざ
梅は日本人の文化に深く関わっているため、梅が由来のことわざも多く存在します。日頃使うことが多いものから、現在はあまり馴染みのないものまでありますが、それらを知っていれば、梅が昔から重宝されて来たことがわかるはずです。
梅にまつわることわざの中でも、特に代表的なものをいくつかご紹介します。
塩梅
塩梅(あんばい)とは、大きく以下の4つの意味を持つ言葉です。
1.料理の味加減
2.物事の具合、様子
3.体の健康状態
4.物事の様子を踏まえて処理すること
古くは、料理の味加減は塩と梅酢を使って整えられていました。塩と梅酢のバランスが取れていることを「良い塩梅(えんばい)」と呼んでいたのが由来です。
雅楽で使われる「篳篥(ひちりき・縦笛の一種)」の奏法である、塩梅(えんばい)が由来という説もあります。
元々は料理の味加減だけを意味する言葉でしたが、物事の具合や様子を指す意味でも使われるようになりました。
また、塩梅は本来「えんばい」と読まれていましたが、意味や読みが近い案配(按排)という言葉があったため、読み方が「あんばい」に変化したといわれています。
松竹梅
3つのものの等級を表すときに使われる言葉が「松竹梅(しょうちくばい)」です。高い順に松・竹・梅となります。古代中国では、冬を耐えて葉を保つ松と竹、寒い時期に花を咲かせる梅を「歳寒三友(さいかんさんゆう)」と呼びました。
歳寒三友は清廉や潔白、節操を表現するための絵のテーマとして用いられていましたが、日本で庶民の間に広がっていく中で、めでたいものの総称として使われるようになったそうです。
梅干しは三毒を断つ
「梅干しは三毒を絶つ」は、梅干しを食べると体のさまざまな不調の改善が期待できる、という意味のことわざです。日本に現存する最古の医学書『医心方』にも記載されています。
三毒は「水毒」「食毒」「血毒」のことを指します。それぞれの具体的な意味は、以下の通りです。
水毒:体の水分の汚れ
食毒:暴飲暴食や食あたりなど、食事による毒
血毒:血液の流れが原因の毒
梅はその日の難のがれ
「梅はその日の難のがれ」は、朝出かける前に梅干しを食べるとその日は災難を免れることができる、という意味のことわざです。
昔は、旅人がその土地の熱病や風土病にかからないように、梅干しを薬として携帯していたのが由来です。
ホテルや旅館などで梅干しが出されるのは、この説が伝えられているからとされています。
他にも、「梅干しと友達は古いほど良い」や「桜切る馬鹿、梅きらぬ馬鹿」、「梅と桜を両手に持つ」など、梅に由来することわざはいくつもあります。どのような言葉が他にあるのか、どんな意味なのかを調べてみてはいかがでしょうか。
梅の花言葉を知って梅をより深く楽しもう
花を見たり実を食べたりと馴染み深い梅には、梅の花全体に加えて、花の色別にも花言葉があります。梅の花の様子を表したものから、伝説にちなんでいるものなど、由来のバリエーションも豊富です。
また、梅に由来することわざも非常に多く存在しています。このことからも、梅がいかに日本人の生活に根付いたものかを感じることができるでしょう。
梅をより深く楽しむために、梅の花言葉や梅に由来する言葉を調べてみるのも面白いかもしれません。