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年に一度の梅仕事!梅仕事のコツを知って日本の風習を楽しもう

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梅を使った自家製の保存食を作るのに欠かせない「梅仕事」。手仕事をしながら目や香りで季節を感じられる、日本ならではの風習のひとつです。 

しかし、梅仕事とは具体的にどのようなものか、ご存じない方もいらっしゃるでしょう。 

ここでは、梅仕事の詳細に加えて、梅仕事の定番である梅干しや梅酒の作り方などをご紹介します。  

「梅仕事」の内容は?

梅が旬を迎えた頃、その年に収穫した梅を使用して、梅干しや梅酒、梅シロップ、梅ジャムなどを作ることを梅仕事と呼びます。1年の中でも梅仕事ができるのは梅を収穫した直後だけです。 

梅仕事で作った梅干しや梅酒は、保存食として1年中味わえるうえに、さまざまなアレンジをして楽しむことができます。 

梅仕事を始める具体的な時期は、地域やその年の梅の状態、梅の種類などで異なるものの、概ね5月中旬から7月下旬頃です。かつては日本各地で見られた光景で、現在も梅仕事の時期になると、梅の実と一緒に氷砂糖や大きな保存容器がお店に並ぶことがあります。 

梅仕事をするのに適した時期と熟し具合に応じたおすすめ用途

梅仕事は5月中旬頃から7月下旬頃に行いますが、時期によって梅の熟し具合は異なります。時期による梅の状態の違いと用途を大まかにご紹介するので、梅仕事の参考にしてみてください。 

【5月中旬~下旬】 

・梅の状態:緑の小粒で硬さがある「小梅」 

・主な用途:小梅漬け 

【5月下旬~6月上旬】 

・梅の状態:緑色の大粒で硬さがある「青梅」 

・主な用途:梅酒、梅シロップ(梅ジュース)、しょうゆ漬け、甘露煮、梅味噌など 

【6月中旬~7月上旬】 

・梅の状態:黄色く熟し柔らかい「完熟梅」 

・主な用途:梅干し、梅酒、梅ジャムなど 

この頃に、梅干し作りを始めると良いでしょう。 

梅仕事の定番!梅干し・梅酒・梅シロップの作り方

梅を使った食べ物・飲み物といえば、梅干しや梅酒が定番です。 

ここでは、自宅で挑戦できる梅仕事として、梅干し・梅シロップ・梅酒の作り方をご紹介します。 

梅干しの作り方 

梅仕事の定番、梅干し作りに必要な材料と作り方の手順は、以下のとおりです。 

【材料】 

・完熟梅:1kg 

・粗塩:200g(梅の重量に対して20%) 

・消毒用のホワイトリカー 

・梅と塩が入る大きさの保存容器 

・重し:2kg(梅の重さに対して約2倍) 

・落とし蓋 

・天日干し用のざる(吊り下げネットでも代用可) 

・竹串や爪楊枝 

青梅を使って梅干しを作ることもできますが、アク抜きを行う必要があるなど少し手間がかかり、失敗する可能性も高いです。初心者の方は、完熟梅を使って梅干し作りにチャレンジしてみてください。 

【作り方の手順】 

1.使用する道具類をホワイトリカーや熱湯をかけて消毒する。水気は残らないように丁寧に拭き取っておく 

2.傷んでいる梅を取り除いたら、傷つかないように洗う 

3.布巾やキッチンペーパーで丁寧に水気を拭き取ったら、竹串や爪楊枝でヘタを取る。カビの発生を抑えるために、ヘタを取った後にアルコールを吹きかけるのもおすすめ 

4.消毒した清潔な容器に塩と梅を交互に入れる。入れ終えたら落とし蓋をして重しを乗せる。容器の上側に行くほど塩の量を増やし、梅が塩で隠れるようにするのがポイント 

5.梅酢が上がってきたら重しを軽くして、塩が溶け切るまで冷暗所で1ヶ月ほど保存する 

6.晴れが続くタイミングを狙って梅を容器から取り出し、ざるに並べて天日干しする(土用干し) 

7.天日干しが済んだら容器に戻す 

梅酒の作り方 

人気が高い梅酒も、作り方を押さえれば簡単に作ることができます。黒砂糖やキビ砂糖を使って作ることもできますが、時間をかけて溶ける氷砂糖を使うのがおすすめです。 

【材料】 

・青梅(完熟梅でも可):1kg 

・氷砂糖:1kg 

・ホワイトリカー(35度以上):1.8L 

・保存容器:容量4~5Lが目安 

・竹串や爪楊枝:数本 

ウォッカやブランデー、ウイスキーなどアルコール度数が高いお酒なら、ホワイトリカー以外でも梅酒を作れます。アルコール度数が低いお酒を使用するのは、カビの発生などにつながる恐れがあるので避けてください。 

【作り方の手順】 

1.使用する道具類をホワイトリカーや熱湯をかけて消毒する。水気は残らないように丁寧に拭き取っておく 

2.梅をよく洗ったら、アク抜きのため1~2時間ほど水に浸し、水分をしっかり拭き取る。完熟梅を使用する場合はアク抜きは不要 

3.竹串で梅を傷つけないようヘタを取る 

4.ヘタを取った梅と氷砂糖を交互に容器に入れ、最後にホワイトリカーを注ぎ入れて密閉する 

5.漬け始めから10日ほどは毎日、その後は定期的に容器を振って中身を混ぜる。冷暗所で保存し、3ヶ月ほど経てば完成 

3ヶ月を目安に飲めるようになりますが、半年以上熟成させるとまろやかな味に仕上がります。 

梅シロップの作り方 

梅干しの酸味が苦手、お酒が飲めないといった場合は、梅シロップ(梅ジュース)を作ってみるのがおすすめです。 

【材料】 

・青梅(完熟梅でも可):1kg 

・氷砂糖やグラニュー糖(上白糖、てんさい糖、ザラメなどでも代用可):1kg 

・保存容器:3L 

材料の分量は、それぞれ1対1の割合で用意しましょう。 

【作り方の手順】 

1.使用する道具類をホワイトリカーや熱湯をかけて消毒する。水気は残らないように丁寧に拭き取っておく 

2.梅をよく洗い、アク抜きのため1~2時間ほど水に浸してから、水分をしっかり拭き取る。完熟梅を使用する場合はアク抜きは不要 

3.竹串で梅を傷つけないようヘタを取り、数か所穴をあける 

4.梅と氷砂糖を交互に容器に詰める。詰め終えたら蓋をして、冷暗所で保存する。保管中は1日1~2回を目安に容器を振り、中身をしっかりかき混ぜる 

10日ほど経ったら完成です。できあがったら梅の実は取り出しましょう。水や炭酸水などで濃さを調整すれば、おいしく飲むことができます。 

梅仕事に欠かせない用具と消毒方法

梅仕事では、ヘタを取る竹串や天日干し用のざる、保存容器など、さまざまな用具を使用します。用具の選び方も重要なポイントです。 

梅の酸によって変質する恐れがあるため、金属製の用具は避けて、木製の竹串や爪楊枝、ざる、ガラス製の保存容器などを用意しましょう。保存容器はしっかりと密閉できるものを選ぶことも重要です。 

また、梅仕事で使う用具は必ず事前に消毒することを心がけましょう。消毒が不十分だとカビが生えたり、雑菌が繁殖したりする恐れがあります。 

耐熱性の容器なら火にかけて消毒する「煮沸消毒」や熱湯を回しかける「熱湯消毒」を、耐熱性に不安がある場合はホワイトリカーを使って消毒を行うと良いでしょう。 

ホワイトリカーがない場合は、食品用アルコールスプレーを使って消毒する方法でも問題ありません。 

時期を見て年に一度の梅仕事を行おう

梅仕事は、日本ではなじみ深い年に一度の昔ながらの行事です。梅仕事を行なえば、1年中自家製の梅干しや梅酒などを楽しむことができます。 

できあがりに時間こそかかりますが、手間がかかる作業はそこまで多くありません。 

しっかり用具を消毒する、梅が傷まないようにするなど、ポイントさえ押さえておけば初心者の方でもチャレンジできます。 

梅雨明けの時期になったら、梅仕事にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。 

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