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梅干しの種の中身って何?知られざる正体と注意点を解説!
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梅干しの種を割ると、アーモンドのような見た目の「仁(じん)」が現れます。「梅干しの種の中身は食べられるらしい」と耳にしたことがある方もいるかもしれませんが、本当に食べていいのか、なんとなく不安に感じた経験はありませんか?
この記事では、仁の正体や注意点、安全に味わうためのコツなどをご紹介します。梅干しをもっと深く楽しむヒントとして、ぜひ参考にしてみてください。
梅干しの種の中身=「仁(じん)」ってどんなもの?
梅干しの種を割ってみると、中には薄茶色の皮に包まれた小さな白いアーモンドのような形の部分が出てきます。これは「仁(じん)」と呼ばれ、胚や核と表現されることも。
また、「梅は食うとも核食うな、中に天神寝てござる」という言葉は、生梅の種の中身には毒があることを戒めたものです。
学問の神として知られる菅原道真(すがわらのみちざね)公が梅干しをこよなく愛していたことに由来しており、仁には天神様が宿ると言われることもあります。
梅干しの種の中身は食べてもいいの?危険性はある?
梅干しの種の中身は食べることができるのか、また危険ではないかについて、しっかり理解しておくことが大切です。
完熟梅の「仁」は食べることができる
完熟した梅や梅干しに加工された梅の場合、仁は食べても問題ありません。仁の特徴は、ぷりっとした弾力とほんのりした苦味。梅干しの漬け汁の酸味と相まって、また食べたくなる味わいです。
梅干し愛好者の中には、仁の味に魅了されて、専用の道具を使って仁を楽しむ方も多いようです。
【注意】青梅の「仁」には有毒成分が含まれている
一方で、熟していない梅(青梅)の仁には注意が必要です。
青梅の段階では、仁の中にアミグダリンという成分が多く含まれており、これが体内で分解されるとシアン化水素(青酸ガス)が発生し、中毒症状を引き起こす可能性があります。
シアン化水素中毒の症状としては、めまい・吐き気・呼吸困難・頭痛などがあり、特に子どもや高齢者が大量に摂取した場合には、深刻な健康被害につながることも考えられます。
このため、未熟な青梅の仁をそのまま食べるのは避けるべきです。また、浅漬けや梅酒の青梅なども、仁の中にアミグダリンが残っている可能性があるため、口にしないようにしましょう。
「仁」をおいしく安全に食べる方法
梅干しの種の中にある仁は、適切に取り出して、適量を守れば安心して美味しく味わえる部分です。
梅干しの種の割り方
梅干しの仁を味わう際、まずは種を割るところからスタート。専用の道具や金槌などを使います。
【仁の安全な取り出し方】
● 梅の種割り器を使う
● ビニール袋に入れて金槌やすりこぎで叩く
梅干しの種の殻は意外と硬く、力任せに歯で割ろうとすると、歯が欠けたり舌を噛んだりしてしまうことがあるため危険です。梅干しの種を割るための専用の道具などを使い、安全に仁を取り出しましょう。
食べる量は1日1~2粒が目安
梅干しそのものにも塩分が多く含まれているため、梅干し+仁を両方食べる場合の塩分量にも注意が必要です。
基本的には、梅干し自体が塩分濃度の高い食品なので、1日に1〜2粒ほどが目安とされています。そのため、仁も一緒に食べる場合は1〜2粒となるでしょう。
梅干しの種の活用方法3選
仁だけでなく、梅干しの種そのものもまだまだ使い道があります。
そのまま捨ててしまうのはもったいない、家庭で手軽にできる梅干しの種の活用法レシピを3つご紹介。
魚料理の臭み取り
煮魚や焼き魚を調理するときに、梅干しの種と生姜を一緒に入れると効果的です。梅干しに含まれるクエン酸や有機酸が魚の生臭さを和らげ、味に深みを加えてくれます。
【梅干しの種で煮魚レシピ】
材料(2人分)
● 白身魚(カレイ・タラなど)…2切れ
● 生姜スライス…2〜3枚
● 梅干しの種…2〜3個
● 醤油…大さじ2
● みりん…大さじ1
● 酒…大さじ2
● 砂糖…小さじ1
● 水…100ml
作り方
1. 鍋に水・調味料・生姜・梅干しの種を入れて火にかける
2. 煮立ったら魚を入れ、落とし蓋をして中火で10分ほど煮る
3. 汁気が少し残る程度に煮詰めて完成
梅の成分が臭みを抑えつつ、上品な風味が加わります。
ほのかな酸味の梅だし汁
日頃使っているだし汁に種を入れて煮出すだけで、ほんのり梅風味の優しい出汁に早変わり。夏のそうめんや、冬はやさしい味のお吸い物におすすめです。
【梅風味のお吸い物レシピ】
材料(2人分)
● 水…400ml
● 和風だしの素…小さじ1
● 梅干しの種…2〜3個
● 醤油…小さじ1
● 塩…少々
● お好みで三つ葉や豆腐など
作り方
1. 鍋に水・だし・梅干しの種を入れて加熱
2. 沸騰後、弱火にして3〜5分ほど煮出す
3. 調味料を加え、具材を入れてひと煮立ちさせたら完成
ほんのり香る梅の風味が、後味さっぱりのお吸い物を演出します。
万能調味料の梅甘酢
甘酢に梅の種を漬けると、ほんのりと梅の風味が移って自家製の万能調味料に。オリーブオイルやごま油と合わせればドレッシングに、醤油や塩を加えれば和風調味料にもなります。
【梅風味の甘酢ダレレシピ】
材料(作りやすい分量)
● 酢…100ml
● 砂糖…大さじ2
● 塩…小さじ1/3
● 梅干しの種…2〜3個
● お好みで:オリーブオイルやごま油、醤油など
作り方
1. 調味料を混ぜ合わせ、保存瓶に入れる
2. 梅干しの種を加えて冷蔵庫で半日〜1日置く
3. お好みで油や醤油を加えてアレンジ
冷やしトマトにかけたり、唐揚げの下味に使ったりとアレンジ自在。手軽に和のアクセントを加えられる優れものです。
梅干しは種の中身まで味わえる“まるごと食材”です!
梅干しは、そのまま食べても美味しい万能食材ですが、種の中身「仁」まで味わえるのが魅力のひとつ。ただし、食べる際には熟した梅を使うことと、適量を守ることが大切です。
また、仁だけでなく、種そのものにも活用方法があるのは驚きですよね。煮魚やだし汁、調味料づくりなど、普段の料理にほんの少し加えるだけで、いつもと違う風味や深みが生まれます。
正しい知識を持って取り入れれば、梅干しは“実・種・中身”まで、まるごと活かせる万能食材。ぜひ日々の食卓でも楽しんでみてください。